EPAの有効性の臨床結果について
EPAは、DHAと同様に青魚の脂に多く含まれている必須脂肪酸で、動脈硬化や脳卒中を予防するなど、多くの効果が確認されている栄養素です。
EPAの必要性
DHAと同様に、不飽和脂肪酸であるEPAは、食事だけでは必要摂取量を賄いにくく不足傾向にあることから、多くの人がサプリメントを利用しています。
EPAは、これまでに様々な臨床試験を実施し、多くの有効性が示されています。
臨床試験は、実際に実験を行っての結果なので、非常に信頼性が高いデータです。
下記より、EPAの持つ有効性を紹介します。
下記の情報については、(独)国立健康・栄養研究所より引用しています。
循環器・呼吸器
DHAと同様に、EPAは中性脂肪を低下させる効果があります。
・冠状動脈疾患に対して有効性が示唆されている。EPAに富む食事をすると冠状動脈疾患患者の死亡リスクが若干低減するという知見がある。
・中性脂肪値が100-330 mg/dLの成人64名(平均年齢46歳)(試験群32名)を対象とした二重盲検試験において、1日あたりEPA 200mg添加魚肉ソーセージを12週間摂取させたところ、血中中性脂肪、RLPコレステロールが低下したという報告がある。
消化系・肝臓
EPAは、潰瘍性大腸炎に有効であることが示されています。
・DHA・EPAを含む魚油の経口摂取が潰瘍性大腸炎に対して有効性を示唆したという報告がある。
脳・神経・感覚器
EPAは精神にも働く栄養素です。
・再発性の単極性うつ症状に対する抗うつ治療の補助剤として、経口摂取で有効性が示唆されている。
・境界性人格障害(borderline personality disorder)に対して、経口摂取で有効性が示唆されている。
・発症72時間以内に開頭クリッピング術を施行した、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血患者58名(試験群45名)を対象とした群間比較試験において、通常の治療や投薬と並行してEPAを1,800mg/日、第4病日から14病日まで投与したところ、症候性脳血管攣縮(血管が細くなる変化のこと。脳に血液がいかなくなり、脳梗塞の原因となる)の発生頻度が減少したという予備的な報告がある。
免疫・がん・炎症
花粉症のリスクを低下させる働きや、リウマチ患者の症状を緩和させる効果が報告されています。
・L-アルギニン、RNAとの組み合わせで、手術後の回復時間を短縮し、重篤な合併症の予防、免疫能の向上に対して、経口摂取あるいは経管摂取で有効性が示唆されている。
・リウマチ患者に対して、EPAを含む魚油(30,130 mg/kg)やn-3系脂肪酸(2.6g:EPA 28%、DHA 6%)を3-12ヶ月経口摂取させた研究において、症状の軽減が報告されている。
・大規模なコホート研究で、EPAの摂取量が高いほど花粉症のリスクが低下することが報告されている。
・乳児554名にEPAを含む魚油を11日500mg、6ヶ月間経口摂取させた研究において、18ヶ月間の喘鳴を予防することを示唆した報告がある。
・インターフェロン+リバビリン(RBV)併用療法を受けたC型慢性肝炎患者41名(平均年齢53歳、試験群19名)を対象としてEPAを1日1,800㎎、8週間摂取させたところ、ヘモグロビン(Hb)の低下量を抑制することができたという予備的な報告がある。
その他
EPAは、肥満患者に対して体重を減少させる働きがあるようです。
・中等度の肥満・高血圧患者52名がEPAを含むn-3系脂肪酸を経口摂取することにより、体重が減少したとの報告がある。
・アトピー性皮膚炎患者64名(2ヶ月-63歳)(試験群12名)にDHA1.2%、EPA0.6%を含む軟膏を2-3回/日、4週間塗布したところ、紅斑、丘疹、掻痒の皮膚症状が改善したという予備的な報告がある。